命を守ることが最優先。金融アイテムは「持ち出すべき」なのか?
命が最優先なのは当たり前。当たり前なんだけど、中長期的に見たらお金は必要・・・
政府の地震調査委員会は南海トラフの発生確率を、2025年1月に30年以内で「80%程度」へ引き上げることを発表しました。
これまで以上に防災や避難への意識が高まる昨今です。
突然の地震や洪水、土砂災害――避難を決断する瞬間、頭をよぎるのが「何を持っていくべきか?」という悩みです。
特に、通帳や印鑑、クレジットカードなどの「お金に関わるアイテム」は生活再建に関わるだけに迷いがち。でも最も大切なのは、「命を守ること」。通帳や印鑑にとらわれて逃げ遅れては意味がありません。
この記事では、「持ち出すべきもの・持ち出さなくても大丈夫なもの」を明確にしながら、避難生活や復旧に役立つ備えと知識をご紹介します。
通帳・印鑑・クレジットカードの扱い方と代替手段
「通帳」「印鑑」は可能な限り持って避難しよう
首相官邸のホームページに掲載されている「災害時の備えチェックリスト」に、災害時の持ち出しには「通帳」とを持ち出すように記載されています。記載はありませんが「印鑑」も必要でしょう。
他にも、「現金」「パスポート」「運転免許証」「病院の診察券」「マイナンバーカード」などの記載が貴重品の欄に掲載されています。

金融アイテム | 持ち出す優先度 | 理由・代替手段 |
---|---|---|
通帳 | ◎ | ネットバンキングを利用していれば不要。再発行も可能。 |
印鑑 | ◎ | 金融機関によっては印鑑不要なサービスも。 |
クレジットカード | ◯ | 避難先での買い物・支払いに便利。キャッシュレス決済にも対応。 |
現金(少額) | ◎ | 停電や通信障害で電子決済が使えないときに備えて。 |
どの金融アイテムも大切なものです。紛失しないように注意してくださいね。
通帳と印鑑以上に大切なものは「本人確認書類」
大規模災害が起きた時、日本銀行は被災地の金融機関に対し「災害被災地域の金融機関等に対する特別措置の要請」をします。
日本銀行では、豪雨や地震などの災害が発生した際に、被災者の便宜を図るため、財務局等と連名で、被災地域の関係金融機関等に対し、以下のような特別な措置を講じるよう要請することがあります。
引用:日本銀行 「災害被災地域の金融機関等に対する特別措置の要請」とは何ですか?
(1)預金証書、通帳、届出の印鑑等を紛失した場合等でも預金者本人の申出であることを確認して払戻しに応じること。
(2)事情によっては、定期預金、定期積金等の期限前の払戻しに応じること。また、これを担保とする貸付にも応じること。
(3)汚れた紙幣の引換えに応じること。
(4)国債を紛失した場合の相談に応じること。
https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/bcp/d03.htm(参照:2025-04-11)
これを踏まえて、金融機関は災害により通帳や印鑑を紛失してしまった被災者に対しても預金の引き出しに柔軟に対応してくれます。
多くの金融機関は1日に10万円まで引き出しが可能、ゆうちょ銀行であれば1日に20万円まで引き出すことができます。

ネット銀行の場合は、電話で本人確認ができた場合は10万円を限度に預金残高の範囲内で、本人名義の他行口座に限り送金してくれます。振込手数料は無料です。
よって基本的に通帳や印鑑がなくても引き出しが可能なのですが、大切なのは本人確認ができることです。
本人確認書類とはなにが該当するのか
本人確認書類とは以下のものを指します。
(1)次の本人確認書類の場合には、窓口で原本を直接提示することによって確認を行います。
引用:一般社団法人 全国銀行協会 本人確認書類って何?
1. 運転免許証
2. 運転経歴証明書(2012年4月1日以降交付のもの)
3. 旅券(パスポート)(2020年2月3日以前に申請されたもの※)
4. 個人番号カード(マイナンバーカード)
5. 在留カード・特別永住者証明書
6. 官公庁が顔写真を貼付した各種福祉手帳(身体障害者手帳など)
7. 官公庁から発行・発給された書類で、その官公庁が顔写真を貼付したもの(ただし、本人から提示された場合などに限ります。)
※所持人記入欄のない旅券(2020年2月4日以降に申請されたもの)は、1点のみでは本人確認書類として使用できません。下記(2)のとおり、住居の記載のある他の本人確認書類等も併せて提示する必要があります。
https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7483/(参照:2025-04-11)
上記は顔写真のある身分証明書になります。
顔写真のない身分証明書の場合は窓口で原本を提示することに加えて、他の本人確認書類または住居の記載のある補完書類を提示することが必要になります。
顔写真がない身分証明書は以下のようなものになります:
- 健康保険証
- 各種年金手帳
- 各種福祉手帳
- 住民票の写し
- 母子健康手帳
- 印鑑登録証明書
- 戸籍謄本 など
顔写真付きの身分証明書の方が、書類ひとつで本人確認ができます。運転免許証やマイナンバーカードなどはできる限り持って避難しましょう。
紛失に注意し、肌身離さず持っておいてくださいね。
本人確認書類がない場合はどうすればよいのか
運転免許証やマイナンバーカードなど、身分証明証を持つことができずに避難を余儀なくされた場合はどうしたらいいのでしょうか。
東日本大震災の際は本人確認ができる書類がなくても、本人であると確認がわかれば引き出せるようにする措置を取っていたようです。
「本人確認書類を持たずに避難してしまった・・・」という場合も諦めずに、ご利用の金融機関にまずは相談してみてください。
口座番号がわかるようにしておこう
本人確認をスムーズに行えるように、通帳の口座番号のコピーや控えを防災バッグに入れておきましょう。スマホのパスワードアプリに入れておくのもよいですね。
口座番号がわからないと本人確認に時間がかかり、引き出しに数日かかってしまう可能性があるからです。
身分証明書と口座番号がわかれば引き出しもスムーズに済むはずです。
悪意のある第三者に知られてしまうと不正に引き出される可能性もあるので、口座番号やご自身の情報は大切に保管してくださいね。
金融アイテムはできるだけ分散するのが理想的
緊急時には様々な決済方法を持っておくことが大切です。
ネットがつながれば、紙の通帳がなくても口座情報にアクセスでき、振込・残高確認・家族への送金も可能です。
ですが、ネットが繋がらない、電源が使えない場合は現金以外の決済が難しくなります。
クレジットカード、現金(小銭含む)、スマホによるキャッシュレス決済。災害時は何が使えるのかわかりません。
普段は現金を持ち歩かない人も、防災バッグには小銭とお札を入れておくと安心です。
スマホ決済派は「充電対策」が命綱
避難所ではスマホの充電スポットに長蛇の列ができることも。
モバイルバッテリーは必携。2回以上フル充電できるものが安心です。
常に充電が足りているのかは確認しておきましょう。
ソーラー充電器や乾電池式充電器があると、長期停電時にも対応可能です。
公衆Wi-Fi・無料ネットワークの探し方
災害時には、自治体や通信会社が無料Wi-Fiスポットを開放します。
無料Wi-Fi「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」は災害時の公衆無料LANサービスで、誰でも利用可能です。
利用方法の例:
- スマホのWi-Fi設定を開く
- 「00000JAPAN」のネットワーク番号(SSID)を選択
- パスワード不要で接続可能
また、避難所や公共施設(図書館・役所など)でもWi-Fiが提供される場合があります。接続前に職員の案内を確認しましょう。
無料Wi-Fiはセキュリティ(なりすましなど)で不安な点がありますが、災害時はそんなこと言っていられないと思います。緊急用と考えて最低限の情報収集・安否確認のみにとどめ、必要以上の使用は控えましょう。
余談:あかぐりが準備している防災グッズ
非常用トイレセット

一番困るのが、飲み水とトイレだろうな〜と思い購入。

こちらの製品は1つ2980円で60回分も入っていて、かつ15年間保存が可能です。
高温多湿の場所で保存しても問題ないとのこと。中身が見れないようにしている真っ黒な汚物袋に、凝固剤とさらに防臭袋までワンセットになっています。
コンパクトなので、登山やキャンプなどのアウトドアでも重宝しているとのことでした。
日本全国のどこでどんな災害が起きてもおかしくないと思い始めている自分は、まずトイレを用意することから始めました。
モバイルバッテリー

1ヶ月に1回以上は出張に行っていたこともあり、「出張先で大災害にあったらどうしよう」を頻繁に考えていました。
その際に購入したのが、モバイルバッテリー。
理由は、「スマホさえ動けばなんとかなる、逆にスマホが電池切れになったら詰む!」と考えたからです。よって出張の際、モバイルバッテリーを3つ持ち歩いていました。
流石に3つは持ちすぎですが、長時間おでかけする人は必ず1個は持っておきたいアイテムです。
そこでAnkerのモバイルバッテリー Mag Goを購入。小さくスリムでかさばらないのに大容量、出張の際に大活躍してくれました。
これならワイヤレス充電ができるので、充電ケーブルは不要です。
出張の際はスマホが頼りでした。地図、支払い、新幹線の予約、乗換案内・・・全部スマホで完結。ひとりで見知らぬ土地へ行く時も、スマホが頼り。
それゆえに、電池切れの恐怖が大きくて3つも持ち歩いているのでしょう(笑)。完全に力技です。
でも、それでいいのです!
水
人が生きていく上で欠かせないのが水です。
出張に行く際は500mlの水を持ち歩いていました。理由はモバイルバッテリーの時と同様、「水がないと詰む」です。
流石に1Lの水を持ち歩くことはありませんが、500mlくらいあれば1日くらいは自分の身体がもつだろうと。
ローリングストックをして、期限が近くなったものは飲料水として活用しています。
枕元に置くスリッパ
地震があったら室内はぐっちゃぐちゃだろうな、そしたら素足で踏んだら痛いだろうな、と思い丈夫そうなスリッパを購入。
可能であれば運動靴を枕元に置いた方がいいんでしょうけどね。
スリッパなら室内で使いやすい、災害がなくても普段使いができるので用意して使っています。
特に冬はふかふかで暖かくていいんですよね。
いざという時のためのクレジットカード
1枚か2枚クレジットカードを持ってくおことを検討している場合。
そんな方には、普段から使える高還元率のクレジットカードがおすすめです。
おすすめ1:楽天カード
年会費無料で、還元率は常時1.0%、キャンペーンにエントリーすればさらに還元率UP!公共料金の支払いや税金の支払いは500円に対し1ポイント進呈。
楽天ペイ併用でのお買い物なら最大3.0%以上のポイントも。
さらに、楽天ポイントはコンビニやドラッグストアでも使えるから、使い勝手も◎
納税だけでなく日常での支払いに大活躍の1枚です。
おすすめ2:エポスカード
年会費永年無料、還元率は0.5%。公共料金や税金の支払いについても、200円ごとに1ポイントが進呈されます。
さらに魅力的なのが、海外旅行保険。年会費永年無料でとても充実した内容になっています。
海外旅行保険の使用条件を満たしやすいのも特徴のひとつ。海外旅行を検討している方は、持っておいて損はないカードです。
まとめ:命を守る判断が、生活再建の第一歩
通帳や印鑑はなくしても取り戻すことが可能です。大切に持っておくべきなのは運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類。
ですが本人確認書類も、最悪持っていなくてもなんとかなります。
大切なのはあなたの命です。
「小銭を含む現金」「ネットバンキング」「キャッシュレス」「充電の備え」も防災の一部・・・
日頃からの準備が安心を生むカギとはいえども、準備は大変。
自分も無理のない範囲で、少しずつ進めていこうと思います。
あかぐりは、地震がきて自宅の中がぐちゃぐちゃになったら、その中からどうやって本人確認書類と通帳、印鑑、クレジットカードを救出しようか?と今から悩ましいです。
とりあえず、夜は枕元にスリッパ(自宅がぐちゃぐちゃになった時に足を守る)とスマホを置いて眠ろうと思います。
<記事を作成するにあたって参考にしたサイト>
日本銀行 「災害被災地域の金融機関等に対する特別措置の要請」とは何ですか?
https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/bcp/d03.htm(参照:2025-04-11)
一般社団法人 全国銀行協会 本人確認書類って何?
https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7483/(参照:2025-04-11)
ゆうちょ銀行 よくあるご質問 地震、台風、大雪等災害の被害により、通帳、印章、キャッシュカードを持っていません。払戻しをすることは可能ですか。
https://faq.jp-bank.japanpost.jp/faq_detail.html?category=&page=1&id=1131(参照:2025-04-11)