
スマートフォンやタブレットの必需品となったモバイルバッテリー。
外出先での“電池切れ不安”を解消してくれる便利なアイテムですが、「発火」や「発煙」などの事故が毎年のように報告されています。中には、リコール対象となっている製品を知らずに使い続けているケースも。
発火の原因は、製造不良やバッテリー内部の劣化、過充電などさまざまですが、「自分は大丈夫」と思っている人ほど危険です。
この記事では、リコール対象製品の確認方法や安全に使用するためのポイントをご紹介します。災害時の備えとしてモバイルバッテリーを持つ人も、いま一度チェックしておきましょう。
モバイルバッテリーの発火事故はなぜ起こるのか

https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/269262/richiumuchirashi.pdf(参照:2025-07-28)
内部のリチウムイオン電池の劣化・損傷が原因
モバイルバッテリーの多くには「リチウムイオン電池」が使われています。
この電池は小型で高性能な一方、衝撃や劣化に弱いという特性があります。内部が損傷すると、電極がショートし発熱・発火につながることがあります。
落下や強い圧力を受けた場合、見た目に異常がなくても内部ではトラブルが進行していることも。さらに、長期間の使用で電解液が劣化すると発熱しやすくなります。
膨張・異臭・発熱などの異常が見られたら、すぐに使用を中止することが重要です。
過充電・高温環境・安価な粗悪品がリスクを高める
発火事故の多くは、「充電しすぎ」や「高温環境での放置」によって引き起こされます。
特に、真夏の車内や直射日光の当たる場所は内部温度が急上昇し、バッテリーの化学反応が不安定になります。
また、安価な製品の中には安全回路が搭載されていないものもあり、過充電を防げずに発火する危険性が高まります。
信頼できるメーカーの製品を選び、充電完了後はすぐにコンセントから外すようにしましょう。価格だけで選ばないことが安全の第一歩です。
持ち歩きや保管時の注意点

前述の通り、リチウムイオン電池は衝撃に弱いという特徴があります。モバイルバッテリーをバッグ等に入れて持ち歩く際には、バッグの中で圧力がかからないよう位置を工夫することも大切です。
保管時は直射日光を避け、風通しのよい場所に置きましょう。さらに、使用していない期間が長く続く場合は、満充電のままにせず50%前後の残量で保管すると、電池の劣化を抑えることができます。
リコール対象製品の確認方法

🔍経済産業省(NITE)やメーカー公式サイトで検索できる
モバイルバッテリーのリコール情報は、経済産業省(NITE:製品評価技術基盤機構)の公式サイトで簡単に検索できます。
トップページの「リコール情報検索」から、「モバイルバッテリー」などのキーワードで調べると、過去に発表されたリコール一覧が表示されます。
また、各メーカーの公式サイトでも、対象製品を掲載した「お知らせ」や「安全に関する重要なお知らせ」ページがあります。購入したブランド名を思い出し、まずは公式情報源を確認することが最も確実です。
「製品名」「型番」「製造時期」で照合する
リコール対象かどうかを確認するには、製品本体の裏面やラベルに記載されている「型番」「製造年月」「ロット番号」などの情報が重要です。
メーカーの発表ページでは、対象となる型番や製造期間が細かく記載されているため、自分の手元の製品と照らし合わせましょう。
似たようなデザインの製品でも、型番が1文字違うだけで対象外の場合もあります。正確な確認が安全を守る第一歩です。心配なときは、メーカーのお問い合わせ窓口に写真を添えて確認するのもおすすめです。
リコール対象だった場合は無償交換・返金の案内を確認
もし自分のモバイルバッテリーがリコール対象だった場合は、必ずメーカーの指示に従いましょう。
多くの場合、無料で新品交換または返金対応が受けられます。使用を続けるのは非常に危険ですので、絶対に充電したり持ち運んだりしないでください。
メーカーのサイトには返送方法や問い合わせ窓口が記載されています。送付時の送料もメーカー負担となることがほとんどです。安全のために、放置せずすぐに対応することが大切です。
安全なモバイルバッテリーの選び方
PSEマーク付きの製品を選ぶ(法的に義務化)
モバイルバッテリーは、2019年から電気用品安全法(PSE法)の規制対象になりました。つまり、日本で販売される製品には、「PSEマーク」の表示が義務づけられています。
このマークは、安全性の基準をクリアしたことを示すもので、正規の検査を受けた製品だけが表示できます。PSEマークがない製品は、発火や爆発のリスクが高く、違法販売の可能性もあります。購入時は、パッケージや本体に「PSE」マークがあるか必ず確認しましょう。安全の第一歩は、正しい認証製品を選ぶことです。
信頼できるメーカー・販売店で購入
安全なモバイルバッテリーを選ぶうえで重要なのは、販売元の信頼性です。国内メーカーや長年販売実績のあるブランドの製品は、品質管理がしっかりしており、発火事故のリスクも低くなります。
通販サイトで購入する場合は、公式ストアや正規代理店のページから購入するのが安心です。格安品やノーブランドの並行輸入品には、基準を満たしていない粗悪品も多く見られます。
たとえ少し高くても、「信頼できるブランドを選ぶ」ことが、長く安全に使うコツです。
正しい使い方と保管方法
高温になる車内や直射日光の下に放置しない

モバイルバッテリーの大敵は「熱」です。特に夏場の車内や直射日光の当たる場所では、内部温度が急上昇し、発火や爆発のリスクが高まります。
使用後や外出先では、できるだけ涼しく風通しのよい場所に保管するのが鉄則です。温度変化の激しい環境も劣化を早めるため、冷暖房の吹き出し口の近くも避けましょう。
充電しながらの使用を避ける
「スマホを充電しながらモバイルバッテリーも充電」──この使い方は便利そうに見えて、実は危険です。
充電と放電を同時に行うと、バッテリー内部が過熱しやすく、寿命を縮める原因になります。充電は完全に終えてから、スマホなどの機器に接続するようにしましょう。安全のためにも、「充電中は使わない」が基本です。
長期間使わない場合は半分ほど充電して保管
長く使わないときは、フル充電のまま放置するよりも、50%程度の残量で保管するのがベストです。
リチウムイオン電池は過充電・過放電のどちらも劣化を招くため、ちょうど中間の電圧を維持するのが理想的です。数か月に一度は、状態を確認して軽く再充電すると安心。これだけで寿命がぐっと伸びます。
バッテリーが膨張したら即使用停止!

https://www.nhk.jp/p/ts/X67KZLM3P6/episode/te/P7MVKPNVVJ/(参照:2025-07-28)
モバイルバッテリーが膨らむ・熱を持つ・異臭がする場合は、すぐに使用を中止してください。
内部のリチウムイオンが不安定になり、発火や破裂の危険があります。テープで押さえたり、穴を開けたりするのは絶対にNG。安全な方法で処分するため、自治体や家電量販店の回収サービスを利用しましょう。
防災グッズとしても重要

災害時のスマホ充電に欠かせないモバイルバッテリー
地震や台風、停電などの非常時、スマートフォンが命綱になる場面は少なくありません。
家族との連絡、避難情報の確認、ライト代わりの使用など、スマホの役割は非常に大きいです。そんなときにバッテリー切れを防ぐのがモバイルバッテリー。電源が使えない環境でも情報を得る・助けを呼ぶための生命線として活躍します。
「安全性の高いものを備える」ことが防災にも直結
防災用品としてモバイルバッテリーを備える際は、安全性を最優先に選ぶことが重要です。
発火や破裂の恐れがある粗悪品は、避難所や自宅での二次災害を招く可能性も。PSEマーク付き・過熱防止機能付きなど、信頼できる品質基準を満たした製品を備えておくと安心です。非常時ほど「安全」が何よりの備えになります。
著者はAnkerのモバイルバッテリーを使用しています。リコール製品について情報提供している点、対応も信頼できると判断して購入しました。
AnkerはPSE表示はもちろんのこと、独自に高い品質基準を設けています。
Amazonで購入すると、モバイルバッテリーのリコール情報などをメールでお知らせしてくれるのでそれも安心材料の一つでした。
ソーラー充電式や手回し充電、電池タイプも併せて準備するとさらに安心
長期停電が発生した場合、モバイルバッテリーの電力も尽きてしまいます。そんなときに頼りになるのが、ソーラー充電式や手回し式、乾電池対応タイプのバッテリーです。
電源の確保が難しい状況でも、自力で電力を生み出せるため、復旧までの時間をしのぐことができます。災害用としては、複数の充電手段を確保することが最も効果的です。
まとめ
モバイルバッテリーは、今や日常生活にも防災にも欠かせない存在です。
使用禁止になってしまったら、生活していける自信が著者にはありません・・・。それくらい頻繁に使うアイテムです。
安心して使うためには、まずお手持ちの製品がリコール対象でないかを確認し、PSEマーク付きの安全な製品を選ぶことが大切です。
さらに、直射日光の下や高温の車内に放置しない、充電しながらの使用を避けるなど、正しい使い方を心がけることが寿命を延ばすコツです。
いざというときに慌てないために、今一度ご自宅や職場にあるバッテリーを点検・見直ししておきましょう。
<記事を作成するにあたり参考にしたサイト>
NHK みみより!解説 真夏の事故に注意 モバイルバッテリー・リチウムイオン電池
https://www.nhk.jp/p/ts/X67KZLM3P6/episode/te/P7MVKPNVVJ/(参照:2025-07-28)
環境省 リチウムイオン電池啓発チラシ
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/269262/richiumuchirashi.pdf(参照:2025-07-28)
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Wrote this articleこの記事を書いた人

あかぐり
クレジットカードを使い続けて10年以上。初めてクレジットカードを作る人に向けて、また、サイトに来てくれた人の経験や知識に「ちょい足し」するべく、クレジットカードの実体験とお金に関する情報を発信しています。