
ある日突然、ニュースで見かけた企業不祥事。
よく見れば、自分が保有している企業の名前が――。
そんなとき、焦りや不安で頭がいっぱいになるのは当然ですが、大切なのは「冷静な対応」です。今回は、不祥事を起こした企業の株を保有してしまった場合にとるべき行動と注意点を紹介します。
不祥事を起こした会社の株は、基本的に避けるべき
不祥事を起こす企業は、企業体質そのものに問題を抱えていることが多くあります。
倫理観やガバナンスが欠けている企業は、再び問題を起こす可能性がある
企業が不祥事を起こす背景には、「倫理観の欠如」や「社内ガバナンスの弱さ」が潜んでいます。
たとえば、過去にデータ改ざんが発覚した某大手メーカーは、一度謝罪した後も数年後に再び同様の不正が見つかりました。
これは、単なる「一度のミス」ではなく、企業体質そのものに問題があると判断されます。
こうした企業は、再発防止策を取ったと公表しても、根本的な意識改革が伴わない限り、再び問題を起こすリスクが高いのです。
また、不祥事が続く企業は、取引先や顧客の信頼を失い、売上減少・訴訟リスク・人材流出にもつながります。
結果として、株価の下落が長期化する可能性が高くなります。
たとえ一時的に反発しても、持続的な成長は期待しにくくなります。
このように、「不祥事は企業の将来性を脅かす重大なサイン」です。
したがって、投資対象として選ぶ際は、「業績」だけでなく「企業の誠実さ」や「統治体制」も重視すべきです。
信頼できない企業には、たとえ株価が魅力的に見えても近づかない姿勢が、長期投資においては重要です。
信頼の回復には長い時間がかかり、株価の回復も不透明
企業が不祥事を起こすと、まず世間からの信頼を大きく失います。
たとえば、大手自動車メーカーの検査不正や、食品会社の産地偽装問題などは、発覚後すぐに株価が急落しました。
その後、企業側が謝罪会見や再発防止策を講じたとしても、すぐに信頼が戻るわけではありません。
一度失った社会的信用を取り戻すには、長い時間と地道な努力が必要になります。
加えて、取引先の離脱、訴訟リスク、人材流出などの副次的な損害も重なり、業績回復にブレーキがかかります。
このような状況では、たとえ事業内容が元々よくても、株価の回復は鈍く、場合によっては再び下落することもあります。
「信頼」は株価において見えない資産であり、それが傷つくと投資家は慎重になります。
したがって、信頼を失った企業の株を長期で保有するのは、大きなリスクを伴う可能性があるのです。
企業としての根幹に問題がある可能性もある
不祥事を起こした企業は、単なる“ミス”ではなく、組織そのものに問題を抱えている場合があります。
データ改ざんを行っていたメーカーが、内部通報をもみ消していた事例もありました。
このような場合、ガバナンス(企業統治)や内部統制が機能していない可能性が高いです。
また、経営陣が業績至上主義に偏っていると、現場に無理なノルマを課し、不正を招く土壌が生まれます。
社員が「バレなければいい」「みんなやってる」と感じている職場文化は、まさに企業体質の問題です。
こうした根本的な欠陥がある企業は、一度不祥事を起こすと再発する可能性も否定できません。
株主にとっては「たまたま不祥事が起きた会社」ではなく、「構造的な問題を抱える会社」と見なすべきです。
つまり、不祥事は“企業の性格”を映し出す鏡とも言え、投資先としては慎重に見極める必要があります。
会計不正、顧客情報の流出、環境違反など、どのような内容でも「信頼の失墜」は避けられません。
一度落ちた信頼を取り戻すには、非常に長い時間がかかりますし、株価の回復も不透明です。
このため、「不祥事を起こすような会社の株は保有しない」というのは、投資家としての基本姿勢です。
できることは「買い増し」「ホールド」「損切り」の3つ
株主が取れる選択肢は、大きく分けて次の3つです。
- 買い増し: 一部の投資家は「安くなった今がチャンス」と考えるかもしれませんが、不祥事銘柄はリスクが非常に高いため慎重に。
- ホールド: 様子を見ながら持ち続ける選択ですが、問題が長期化すれば機会損失にもなり得ます。
- 損切り: 損失は痛いですが、これ以上のダメージを避けるための有効な手段です。
たとえば、「将来的に回復が見込める」と判断した場合は、株価が下がった今こそ買い増しという選択肢もあります。
一方で、「回復するかもしれないが、判断材料がまだ足りない」と感じる場合はホールドも現実的な選択です。
しかし、不祥事の内容が重大だったり、経営陣の対応に誠意が見られない場合は損切りが有効です。
例として、食品偽装やデータ改ざんなど、消費者の信頼を根本から失うような不祥事では、株価が長期的に低迷することも。
大切なのは、感情で判断するのではなく、企業の再建力や市場の反応を冷静に分析した上で決断することです。
また、損切りした資金を他の健全な企業に振り向けることで、トータルの損失を抑えることもできます。
不祥事の見抜きは困難。だからこそ分散投資を
企業が不祥事を起こすかどうかは、外部の投資家には事前に見抜くのが非常に難しいものです。
上場企業であっても内部の労務管理や経理の不正、コンプライアンス違反は外からは見えません。
いくら業績や財務が良さそうに見えても、内情までは読めないのが実情です。
だからこそ、一社に集中投資するのではなく「分散投資」が有効なリスク対策になります。
たとえば、複数の企業やセクター(業種)、さらに国内外に投資先を分けることで、一社が不祥事を起こしても、資産全体へのダメージを小さく抑えることができます。
インデックス投資や投資信託を活用するのも、初心者にとって手軽な分散の手段です。
不祥事リスクはゼロにできませんが、分散によって「致命傷を避ける」ことは可能なのです。
まとめ:損失よりも、未来の機会を守ろう
損失が出ると、「取り戻したい」という気持ちに駆られがちです。
しかし、冷静になって考えれば、不祥事企業に資金を置き続けるよりも、別の成長企業や投資信託に資金を移す方が未来のためになります。
「損切りは悪」ではなく、「自分の資産を守るための戦略」として、前向きにとらえていきましょう。
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Wrote this articleこの記事を書いた人

あかぐり
クレジットカードを使い続けて10年以上。初めてクレジットカードを作る人に向けて、また、サイトに来てくれた人の経験や知識に「ちょい足し」するべく、クレジットカードの実体験とお金に関する情報を発信しています。