退職を考えている、あるいは会社から退職の話を持ちかけられたときに、気になるのが「自己都合退職」と「会社都合退職」の違い。
この違いは手続きやもらえる給付金、再就職の準備期間に影響する可能性があります。
「会社都合のほうが得って本当?」「自己都合だと損なの?」「自分の場合、どちらに該当するの?」と疑問を感じている方も多いかもしれません。
この記事では、両者のメリット・デメリットを比較しながら、特に気になる「失業給付の金額や給付開始時期」など、知っておきたいポイントを解説していきます。
退職を前向きな一歩に変えるために、制度の違いを正しく理解しておくことが大切です。
1. 会社都合退職とは?
「会社都合退職」とは、会社側の都合によって労働者が退職するケースを指します。例えば、会社の倒産・リストラ・事業縮小などです。
一方、自己都合退職は、転職や家庭の事情など本人の意思によるものです。この違いにより、失業保険の給付条件や開始時期にも大きな差が出ます。
一般論として、会社都合退職の場合は突然辞めなければいけない状況になることが多いため、自己都合退職に比べて労働者の保護が図られています。
2. 会社都合退職のメリット・デメリット
会社都合退職のメリット
① 失業保険の給付がすぐに始まる
自己都合退職では給付までに「7日間の待機+1ヶ月の給付制限」がありますが、会社都合退職の場合は7日間の待機のみ。すぐに給付が開始されます。
② 給付期間が長い
自己都合よりも給付日数が多くなりやすく、年齢や雇用保険の加入期間に応じて最大330日分が受け取れるケースもあります。
会社都合退職のデメリット
① 転職時に理由を問われることがある
リストラや倒産といった背景は正直に話しても問題はありませんが、あなたに問題があったと誤解されないように、丁寧な説明が必要です。
転職理由の伝え方については、個人で熟慮してもいいですし転職エージェントやハローワークの相談員に相談するとよいかもしれません。
事実と異なる内容を記載した場合は経歴詐称になってしまう可能性もあるので注意が必要です。
3. 自己都合退職のメリット・デメリット
退職の理由が「自己都合」と聞くと、「失業保険の給付が遅れる」「再就職が不利になる」といったマイナスのイメージを抱く方も多いかもしれません。
たしかに、会社都合退職と比べると一部の制度上で不利になる面もありますが、それでも自己都合退職には自分の意思で選ぶからこそのメリットもあります。
自己都合退職のメリット
①退職時期を自分で決められる
自分の体調や次の予定、転職活動の進み具合にあわせて退職時期を調整できるのは大きな利点です。特に「すぐに収入が途絶えない」のは大きなメリットです。
②キャリアやライフプランに柔軟に対応できる
「やりたいことに挑戦したい」「家庭の事情で働き方を変えたい」など、自分の人生に合わせて新たな一歩を踏み出せます。
③職場との関係を穏便に保ちやすい
トラブルではなく、円満な退職を望む場合は自己都合退職のほうが選びやすい面もあります。
自己都合退職のデメリット
①失業給付の受給が1か月後から
原則として、自己都合退職の場合は給付までに「待期期間7日+給付制限1か月」が必要になります。
これまでは自己都合退職の場合、待機期間は2ヶ月ありその期間は給付が受けれませんでしたが、2025年4月から待機期間が1ヶ月に短縮されました。
②会社都合退職の方が失業給付の日数が多い可能性がある
雇用保険の基本手当の給付日数も、多くの条件において、会社都合退職のほうが自己都合退職よりも長くなります。
<自己都合退職でも会社都合退職となる場合がある>
あなたが退職した時の状況によっては、条件を満たせば「特定理由離職者」として会社都合退職扱いで手当を受給できることがあります。
心身の障害や疾病、負傷した場合などが特定理由離職者に当てはまります。詳細は以下のハローワーク公式サイトからご確認ください。
4. 失業給付は増えるのか?
失業保険の金額そのものは同じ基準ですが、
会社都合退職では「支給開始が早く、支給日数が長い」という点がポイントです。
項目 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
---|---|---|
給付開始時期 | 約1ヶ月後 | 約7日後 |
給付期間 | 最短90日〜最長150日 | 最短90日〜最長330日 |
特に、50代以上・長期雇用者にとっては大きな差になります。
5. 自己都合とされてしまった時の対処法
会社に自己都合退職を要求された
会社の要求に応じて、自己都合で退職する旨を記載した退職届を提出してしまったが実際は会社都合だった場合、法的交渉が可能になる場合もあります。
その場合に備えて、会社とのやり取りのメールや会社側の発言の録音、文書等を保管しておきましょう。
ハローワークで異議申し立てができる
退職すると離職票という書類が会社から届きます。
離職票には「自己都合」または「会社都合」の記載がありますが、実際の状況と異なる場合は、ハローワークで異議申し立てが可能です。
対応ポイント:
・メールや録音など、退職の経緯が分かる証拠を保管しておく
・相談の際は冷静に事実を伝えることが大切
会社都合退職になると都合が悪い企業は、会社都合の退職を認めない場合もあります。ひとりで戦うのは心理的にも大変なので、労務に強い弁護士を探して相談することをお勧めします。
弁護士の先生を探すのは大変ですが(体験済み)、信頼できる方が味方でいてくれるととても心強いですよ。
6. 活用できる制度・生活の備え
退職後、すぐに再就職が決まらない場合でも利用できる制度があります。
- 職業訓練給付金(求職者支援制度)
- 住宅確保給付金
- 生活福祉資金(緊急小口資金)
また、生活費の節約には固定費の見直しが効果的。
たとえば通信費を抑えたいなら、「楽天モバイル」や「楽天ターボ」の利用がオススメです。どちらもシンプルな料金体系で、節約と通信品質の両立が可能です。
7. まとめ
人には様々な事情があります。心身が疲弊し、急いで会社を離れなければならなかった方もいるかと思います。
「これからどうしよう・・・」と不安な気持ちの方もいるかもしれませんが、国の制度を上手に活用すれば、再出発の大きなチャンスにもなります。
大切なのは、「情報を知らずに損をしない」こと。
まずは手元の離職票や案内書類を確認し、ハローワークへ相談するところから始めてみましょう。