最近、「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉を耳にする機会が増えました。
これは、アメリカで注目された働き方で、「言われたことしかやらない」「指示がない限り動かない」といったスタンスを表しています。
一見、仕事と私生活のバランスを取るための賢明な選択に見えるかもしれませんが、注意が必要です。
今回は、この静かな退職とは何か、なぜおすすめできないのかを、わかりやすく解説します。
静かな退職とは?
「静かな退職」とは、実際に会社を辞めるわけではなく、「仕事に対して最低限のことしかしない」という働き方を指します。
具体的には、
- 指示された業務以外はやらない
- 就業時間外は連絡に応じない
- 自発的な提案や工夫をしない
といった特徴があります。
この考え方は、過重労働やサービス残業への反発として生まれました。ですが、短期的には自分を守る手段であっても、長期的にはデメリットも大きくなりがちです。
静かな退職をおすすめしない4つの理由
① よい時間の使い方とは言えない
やらされ仕事だけに時間を費やしていては、成長のチャンスを自ら手放すことになります。
せっかく働いているのに、スキルも評価も上がらないのは、もったいないことです。ただただ時間を浪費するだけになってしまいます。
「どうせ言われたことだけやっておけばいい」と思っていると、仕事そのものがつまらなく感じてしまい、モチベーションも下がります。
② 信頼を失いやすい
静かな退職を実行していると、周囲から「やる気がない」「頼りにならない」といった印象を持たれがちです。
その結果、評価されにくくなり、昇進や重要な業務のチャンスも回ってこなくなります。
一度失った信頼を取り戻すのは、想像以上に大変です。
また指示された以外のことはしないというスタンスは付加価値を生まないため、真っ先にリストラの対象になる可能性もあります。
③ 経済的にプラスにはならない
評価が下がることで、昇給やボーナスの対象から外れるリスクがあります。
副業や転職を考える際も、「仕事に対して受け身だった人」として見られれば、採用や案件獲得に悪影響を及ぼす可能性も。
つまり、「静かな退職」は、未来の自分の選択肢を狭める行為にもなりかねません。
④時間が経つと周りと比較して能力差が目立つようになる
会社の全員が「言われたことしかやらない」人間であれば困らないと思います。
ですが、会社に「会社でも積極的に仕事をして、休日も自己投資を行なって仕事の能力をアップさせています」という人間が一人でもいたらどうでしょう。
「自己投資を怠らない人」と「言われたことしかやらない人」を比べた際、どちらを評価するでしょうか。
時間が経てば経つほど、周りと比較して能力差が目立つようになります。
そうなると、言われたことしかやらない人間は真っ先にリストラの対象です。
「働きすぎ」ではなく「信頼される働き方」を目指す
大切なのは、「何でもかんでも引き受ける」ことではありません。
過労や無理な残業は避けるべきですが、最低限の仕事しかしない、という態度は別の問題を生みます。
- 自分にできる範囲で工夫や改善を試みる
- チームメンバーの負担を想像して行動する
- 必要最低限ではなく、「もう一歩先」を意識してみる
こうした姿勢が、信頼を生み、結果的に「時間にもお金にもゆとりがある」将来をつくる鍵になります。
なぜ仕事が苦痛なのか、喜びを感じないのかについて考えてみる
そもそも、なぜ苦痛で喜びも感じないのに仕事をしなければならないのか、について少し考えてみる必要があると思います。
あなたの職場に、職場に来て不機嫌で、八つ当たりしてくる人はいませんか?平気でパワハラをしてくる人間はいませんか?
不機嫌になって職場に来て、他人に当たり散らすのは、働いているというより害になっていますよね。
そしてあなたもそういった不機嫌を振り撒く人になっていたら要注意です。
「苦痛でも働くのはお金のためだよ」と言うと思います。ですが、お金を稼ぐ本質は困っている人を助けるサービスの対価としてもらうものです。
不機嫌になって八つ当たりする必要は、本来はないはずです。
不機嫌で八つ当たりしてしまう、それが当たり前になっていたら、ご自身の環境を見直してみる必要があるのではないでしょうか。
一方で、現代に希望を持てない気持ちもわかる
AIやロボットがものすごいスピードで発達していて「3年後に消える職業ランキング」なんてものに自分の職種が記載されていると「なんだよ!そんなに価値のない仕事かよ!」と思いますよね。
目まぐるしく変わっていく環境とこの先どうなるかわからない不透明さも相まって、「やってられるか」と思ってしまうのも無理はないと思います。
ただでさえ煽ってくる世の中、不安になる言葉ばかり並べるのも正しいことではないのだと思います。
未来のことは誰にもわからないのです。どんな企業に勤めている偉い人も、研究者も未来はわからないのです。
楽観的になるのも悲観的になるのもよくはないのでしょう。
ではどうするのか?正解はないですし、誰も答えを持っていません。
「未来は誰にもわからない」。これは日本の教育の基盤である「答えはひとつ、正解を書かなければならない」というものと対極に位置するものです。
答えがある、なんて考え方はこれからの時代、大きなハンディキャップになる意識かもしれません。
認識を改めることから始めたいと思います。自分も含めて。
まとめ
静かな退職は、一時的な防衛策としては有効かもしれませんが、
- 自分の成長機会を奪う
- 周囲の信頼を失う
- 経済的な損につながる
といったリスクがあります。
自分の人生を守るためにも、主体的に働きながら、自分の時間や心も大切にできる働き方を選びましょう。