自転車は、通勤・通学や買い物など、私たちの日常に欠かせない移動手段のひとつです。
しかし、その便利さゆえに「なんとなく」使っている人も多く、交通ルールを知らずに乗っているケースも少なくありません。
2024年11月に「ながらスマホ」が罰則強化、「酒気帯び運転」は新たに罰則対象となりました。これは自転車による交通事故の増加が背景にあります。
今般の改正道路交通法で自転車の運転に関するルールが強化された背景には、近年、自転車による交通事故の増加傾向が続いていることがあります。
引用:政府広報オンライン 2024年11月自転車の「ながらスマホ」が罰則強化!「酒気帯び運転」は新たに罰則対象に!
警察庁の統計によると、令和5年(2023年)中の自転車が第1当事者(過失割合が高い方)又は第2当事者(過失割合が低い方)となった交通事故(自転車関連事故)は72,339件で前年より2,354件増加しました。自転車関連事故の件数は、全交通事故に占める割合が2割を超え、令和3年(2021年)以降、増加傾向にあります。
https://www.gov-online.go.jp/article/202410/entry-6604.html(参照:2025-05-09)

https://www.gov-online.go.jp/article/202410/entry-6604.html(参照:2025-05-09)

誰でも被害者・加害者になりうる自転車の運転。昨今の現状を正しく理解し、どうしていけば良いか知れば悲しい事故を防ぐ可能性を上げることができます。
本記事では、自転車にまつわる基礎知識や交通ルール、事故を防ぐためのマナーやポイントを紹介します。
自転車は手軽、でもルールを守らなければ危険
免許が要らず、手軽に乗れることもあり利用する機会が多いと思いますが、自転車による関連事故も起きています。
令和6年中の自転車関連事故(自転車が第1当事者又は第2当事者となった交通事故を示す)の件数は、67,531件で前年より4,808件減少しましたが(警察庁サイトより)、危険な自転車の運転による死亡事故の増加により、令和6年11月1日から罰則が強化されました。
令和6年11月1日道路交通法の改正
引用:警視庁 自転車に関する道路交通法の改正について
自転車運転中の携帯電話使用等に起因する交通事故が増加傾向であること及び自転車を酒気帯び状態で運転した際の交通事故が死亡・重傷事故となる場合が高いことから、交通事故を抑止するため新しく罰則規定が整備されました。
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/cycle_kaisei.html#:~:text=%E4%BB%A4%E5%92%8C6%E5%B9%B411,%E3%81%8C%E6%95%B4%E5%82%99%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82(参照:2025-05-09)

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html(参照:2025-05-09)
自転車は道路交通法で「軽車両」に分類され、車と同じように守らなければならないルールがあります。
2026年から反則金の納付を通告する「青切符」の取り締まりを開始
さらに警察庁は、車やオートバイと同様に反則金の納付を通告するいわゆる「青切符」による取り締まりを2026年4月1日より行うとしました。
反則金の額は以下のとおりです。
▽携帯電話を使用しながら自転車を運転する、いわゆる「ながら運転」は1万2000円
引用:NHK 自転車交通違反に「青切符」来年4月からの方針 反則金の額は…
▽遮断機が下りている踏切に立ち入ることは7000円
▽信号無視は6000円
▽逆走や歩道通行などの通行区分違反は6000円
▽一時不停止は5000円
▽ブレーキが利かないなど、制動装置の不良は5000円
▽傘を差したり、イヤホンを付けて音楽を聴いたりしながら運転するなど、都道府県の公安委員会で定められた順守事項に違反する行為は5000円
▽無灯火は5000円
▽並んで走行する並進禁止違反は3000円
▽2人乗りは3000円
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250424/k10014788041000.html(参照:2025-05-09)
青切符導入の背景には、自転車の交通違反が重大事故につながるケースが相次いでいるためです。
知っておきたい10つのポイント
1. 自転車は「車両」だということを知っていますか?
自転車は、歩行者ではなく「車両」です。
そのため、基本的には車道の左側を走らなければなりません。
歩道を当然のように走っている方も多いですが、これは原則としてNG。自転車は「車道が原則、歩道は例外」が基本ルールです。
2. 歩道を走ってもよいのは、特別な場合だけ
以下のような場合に限り、自転車は歩道を通行することが認められています。
- 13歳未満の子ども
- 70歳以上の高齢者
- 身体に障害のある方
- 車道通行が著しく危険な場合(交通量が非常に多い等やむをえない場合)
歩道を走行する際は「徐行」が原則であり、歩行者を優先しなければなりません。すれ違う際にはベルではなく、声をかける・速度を落とすなど、安全を第一に行動しましょう。
3. 夜間はライトをつけないと違反です
日が暮れても、無灯火で走っている自転車を見かけることがありますが、これはれっきとした道路交通法違反です。夜間走行時はライトの点灯が義務付けられており、違反した場合は罰金の対象となります。
また、最近では反射材や点滅タイプのライトを併用することで、より安全に走行する人も増えています。自分の命を守るためにも、しっかり点灯させましょう。
4. 「ながら運転」は重大事故につながる
スマホを見ながら、傘を差しながら、音楽を聴きながらの運転は非常に危険です。これらの「ながら運転」は多くの自治体で条例違反や危険運転とされており、実際に重大な事故が発生しています。
たとえば、イヤホンをつけたまま走行していた高校生が交差点で車に気づかず衝突…といった事例も。運転中は周囲に意識を集中させましょう。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/leaflet_jsdc.pdf(参照:2025-05-09)
5. 子どもを乗せるときには、特に注意を
子どもを自転車に乗せるときは、以下の点を確認しましょう。
- ヘルメットの着用(13歳未満は義務)
- 安全基準を満たしたチャイルドシートの使用
- 走行前のしっかりとした固定確認
ちょっとした油断が重大事故に繋がる可能性もあるため、特に慎重な運転が求められます。
6. 自転車保険、入っていますか?
万が一、歩行者と接触してケガを負わせてしまった場合、多額の賠償責任を負うことがあります。実際に、子どもが起こした事故で親が約9500万円の損害賠償を命じられた判例もあります。
このようなリスクに備えて、多くの自治体では自転車保険への加入が義務化・努力義務となっています。保険の内容は、自動車保険の特約やクレジットカード付帯など、意外と身近なところでカバーできる場合もあるので、ぜひ一度確認してみてください。
以下の資料からお住まいの自治体が義務なのか努力義務なのか、どちらに入っているのか確認してくださいね。

https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/promotion/pdf/situation.pdf(2025-05-09)
7. 安全に乗るための点検「ブタハシャベル」
自転車の点検をするときの合言葉「ブタハシャベル」をご存じですか?
これは以下のチェックポイントの頭文字をとったものです:
- ブ:ブレーキ
- タ:タイヤ
- ハ:反射材(併せてライトも点検しましょう)
- シャ:車体
- ベル:ベル・警告音

この6つを意識して、定期的に点検を行いましょう。特にタイヤの空気不足やブレーキの故障は大事故の元です。
8. 雨の日の自転車は危険がいっぱい
雨の日は、路面が滑りやすくなり、視界も悪くなるため、転倒や接触事故が起きやすくなります。傘差し運転は危険なだけでなく、違反となることもあるので、レインウェアの使用が推奨されます。
また、制動距離(止まるまでの距離)が伸びるため、スピードを落として慎重に走行しましょう。
9. 自転車通学・通勤のマナーも忘れずに
集団で並んで走ったり、赤信号を無視したりしていませんか? 自転車だからといって交通ルールを無視していいわけではありません。特に通学時間帯や朝の出勤時は交通量も多く、注意が必要です。
「交通ルールを守ること」は、自分を守るだけでなく、周囲の人を守る行動でもあります。
10. ヘルメット着用は「努力義務」
2023年の道路交通法改正により、全年齢に対してヘルメットの着用が「努力義務」となりました。とくに子どもや高齢者が乗る場合には、事故による重傷を防ぐためにも非常に効果的です。
頭を守る、という観点では必須アイテム。努力義務だから装着しなくていい・・・ではなく、頭を守るために必ず装着しましょう!
自転車乗用中の交通事故において主に頭部を負傷した死者・重傷者について、ヘルメットを着用していなかった方の割合は、着用していた方に比べて約1.7倍高くなっており、頭部損傷が重大な事故につながりやすいことがわかります。
引用:警察庁 自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~
幼児・児童に自転車を運転又は同乗させるときは、ヘルメットの着用を徹底してください。また、他の自転車利用者もヘルメットをかぶるようにしましょう。
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html(参照:2025-05-09)
自転車用のヘルメットは軽量で通気性の良いものも多く、デザインも豊富。ファッションとして取り入れつつ、安全も確保しましょう。
ヘルメットを選ぶ際はSGマークやJCF公認マークなど安全性を示すマークがついているものを使用し、顎紐を絞めて正しく着用することを心がけましょう。
まとめ:安全運転は、正しい知識から
自転車は便利な反面、正しく使わなければ大きな事故を引き起こす可能性があります。今回ご紹介したルールやマナーを改めて見直し、自分自身や大切な人の命を守る行動を意識してみてください。
「知らなかった」では済まされないのが交通ルール。ぜひこの機会に、自転車との関わり方を見つめ直してみませんか?
人混みを避けた道を通るなど、少しの工夫で自転車に乗るあなたの負担も減らせるかも。道を選ぶことも選択肢の一つに入れてみましょう。
<記事を作成するにあたって参考にしたサイト>
政府広報オンライン 2024年11月自転車の「ながらスマホ」が罰則強化!「酒気帯び運転」は新たに罰則対象に!
https://www.gov-online.go.jp/article/202410/entry-6604.html(参照:2025-05-09)
警視庁 自転車に関する道路交通法の改正について
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/cycle_kaisei.html#:~:text=%E4%BB%A4%E5%92%8C6%E5%B9%B411,%E3%81%8C%E6%95%B4%E5%82%99%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82(参照:2025-05-09)
NHK 自転車交通違反に「青切符」来年4月からの方針 反則金の額は…
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250424/k10014788041000.html(参照:2025-05-09)
警視庁 自転車運転中の「ながらスマホ」は禁止されています
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/leaflet_jsdc.pdf(参照:2025-05-09)
国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進
https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/promotion/pdf/situation.pdf(2025-05-09)
警察庁 自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html(参照:2025-05-09)