
お金を守るシリーズ、番外編。
投資詐欺についてです。
テーマの理由:進学直後、勧誘・セールスを目の当たりに
このテーマを挙げた理由は、自分の実体験にあります。大学に進学してまず目にしたのは、新入生を狙った悪質な勧誘・セールスでした。
大学のキャンパスにも入ってくる、大学から学生を連れ出し個室に閉じ込める、ひどい時にはアパートに押しかける。
押しかけたアパートの扉の近くには、訪問した回数がわかるようにシールが貼られている。
これをいい歳をした大人がやっていました。
本来、大人は学生を諭し導くものであると考えています。しかし、一部の人間には金ヅル、カモにしか見えてないのだと実感しました。
今回は、これから進学する学生さんや新卒の社会人に向けた投資詐欺からあなたとお金を守ろう、というお話をします。
儲け話がやってきたら、あなたはどうしますか?
現代の日本では、誰も金融に関する知識を教えてくれない。自ら金融教育を施すしかない。
18歳になればクレジットカードは作れます、あなたは大人です!
・・・と世間では言いますが、果たして世間の大人は子供たちに十分な金融教育をしているでしょうか。いい歳した大人でさえも、金融の知識を十分に持っていないかも。
そして、人を騙す大人もいます。
知識が十分でない人を狙った詐欺も多発。特に近年の投資ブームを背景に、SNS投資詐欺の被害額は2024年11月の時点で700億円以上にのぼっています。
以下、国民生活センターより「SNSをきっかけとして、著名人を名乗る、つながりがあるなどと勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増」情報です。
進学や就職で周りの環境が変わると、これまでとは異なる人間関係や価値観の環境におかれ、色々な話を聞くかもしれません。そのひとつが儲け話です。
新しい人間関係から、投資や仕事、手軽で高い報酬をくれるバイトに誘われるかもしれません。ですが、そんなおいしい儲け話が一般に出回るものではない、と考えてください。
悲しい話ですが、この世に簡単に稼げる方法はない、あなたを騙そうとする人は残念ながらいる、それが例え友人であっても、です。
お金は人を良くも悪くも変えます。そして、金融リテラシーが乏しい場合は悪意のある第三者に狙われる可能性が高いのです。
知識が少ない人を喰い物にする詐欺の被害にあった人を、私は自己責任であるとは言いません。そんなこと言えないと思います。
手口が巧妙化しており、誰にでも被害にあう可能性があるからです。そして、その人が置かれた環境や境遇などを度外視して「自己責任」という言葉で片付けられません。
知識があって回避できた人は、勉強の賜物でもありますが、運よく勉強できる環境にあったともいえます。
これからもその環境と知識を大切にして、周りのかたが困っていた場合は助けてほしいと思います。
投資詐欺の気をつけるべきポイントを紹介します。
投資詐欺 気をつけるポイント
1)金融商品取引業の登録を受けている会社か
ポイントとなるのが、「運用実体があり、適切な運用体制があるのかどうか」です。運用実績の前に、こちらを確認してください。
日本の居住者を相手に、株取引やFX、暗号資産取引などの金融商品取引業・暗号資産交換業を行う者は、日本の法令に基づき、登録を受ける必要があります。
この登録ですが、投資者等の保護のための態勢を整備することが求められます。投資者等から預かった資産の分別管理、トラブル時の対応窓口の設置、システムの安全稼働の管理など、チェック項目はとても厳しい内容です。
裏を返せば、無登録業者はそれらの態勢ができていない不十分な会社であるということ。そのような会社とは取引をすべきではありません。
金融庁 免許・許可・登録等を受けている業者一覧

金融庁 無登録業者との取引は要注意!

2)運用益が大きすぎないか
運用益の大きさに気をつけましょう。
投資の神様と言われるウォーレン・バフェットさんは、総資産が約20兆円と言われています。投資により財を成したバフェットさんですら年間の平均利回りは20%です。
最も手堅いと言われているインデックス投資でも利回りは平均5%ほど。
その相場感から大きくかけ離れている場合は、最大限の注意が必要です。
3)投資の私募集、合弁会社等の社員権の取引ではないか
投資におけるトラブルを避けたいのであれば、投資の私募集(証券会社が扱っていない投資の募集のこと)、合同会社等の社員権の取引は避けた方が無難です。
特に合同会社等の社員権取引は、金融庁の金融商品取引業の登録がなくても実施できてしまう取引であり、抜け道として利用している会社もあるため、適切な運用体制があるのかどうか確認ができません。
高利回りを謳った勧誘に応じた結果、連絡が急に取れなくなり投資した資金自体も返金がされない、退社を申し出ても返金がされないといった事例が多数あるようです。
こういった勧誘に応じるのは避けましょう。
参考:金融庁 合同会社等の社員権の取得勧誘にご注意ください

4)そもそも、そんな話にのらない
これが一番効果的です(笑)。
そもそものらない。「付き合い悪い」とか「友達のくせに」とか言ってくるかもしれませんが、儲け話に付き合いもなにもありません。
やりたくなかったらやらなければいいのです。
その判断について難癖をつけてくるのであれば、その友人との関係も見直したほうがいいでしょう。
おまけ:友人から投資の儲け話がきたら
友人から投資の儲け話のお誘いをいただいた場合は、こう質問してみましょう。
<質問>
・その会社は金融商品取引業の登録を受けているの?
・運用益が大きいけど、どうやって運用しているの?運用実績は?
この質問をして「金融商品取引業ってなに?」とか「運用実績?」と答えられない場合は投資をやめましょう。
友人も素でわからない顔をしている場合は、その人も被害者の可能性があります。
逆に「屁理屈言いやがって!!」とかキレだす場合は、投資をやめるのはもちろんのこと、その人から逃げましょう。
キレだすということは、質問の意図がわかっている=疑われていると気づいているということですからね。
まとめ:投資詐欺はお金を集めて消えるパターンが多い
投資詐欺の9割はポンジ・スキームと言われています。
実際には運用実績がないにも関わらず出資金を集め、お金を配当金として回し出資者の信頼を得て、出資金が大きくなったところで姿を消す詐欺です。
学校や職場は人間関係や環境が閉鎖的であり、客観性に欠ける部分があります。
そして、その場の空気に飲まれやすい、集団的意識が働きやすい場所になります。
その場の空気に飲まれてしまいお金を払ってしまった、気をつけていたが投資詐欺にあってしまった、投資詐欺かもしれない商品に投資してしまった場合は、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
投資を行うこと=悪ではありません。ですが、投資を利用した詐欺もあることは事実。
初心者は、まず金融商品取引業の登録を受けている金融機関はどこなのか、調べるところから初めてみてはいかがでしょうか。